Classici giapponesi con furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Leggi 耽溺 (たんでき) di 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.597 caratteri · 110 schermate
と言って、僕は携えて来た土産を分けてやった。
妻の母は心配そうな顔をしているが、僕のことは何にも尋ねないで、孫どもが僕の留守中にいたずらであったことを語り、庭のいちじくが熟しかけたので、取りたがって、見ていないうちに木のぼりを初め、途中から落ッこちたことなどを言ッつけた。子供は二人とも嫌な顔をした。
「お母さん、箪笥の鍵はどこにあります?」僕はいよいよ残酷な決心の実行に取りかかった。
「知りませんよ」と、母は曖昧な返事をした。
「知らないはずはない。おれの家をあずかっていながらどんな鍵でもぞんざいにしておくはずはない」
「実は大事にしまってあることはしまってありますが、お千代が渡してくれるなと言っていましたから――」
「千代は私の家内です、そんな言い分は立ちません」
「それでは出しますから」と、母は鍵を持って来て、そッけなく僕の前に置き、台どころの方へ行ってしまった。
僕は箪笥の前に行き、一々その引き出しを明け、おもな衣類を出して見た。大抵は妻の物である。紋羽二重や、鼠縮緬の衣物――繻珍の丸帯に、博多と繻子との昼夜帯、――黒縮緬の羽織に、宝石入りの帯止め――長浜へ行った時買ったまま、しごきになっている白縮緬や、裏つき水色縮緬の裾よけ、などがある。