Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Leggi 自叙伝 (じじょでん) di 大杉 栄 (おおすぎさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 115.021 caratteri · 230 schermate
彼女がこうして折れて来ると、僕は彼女の持っている殺意にまで話を進めることができなくなった。そして僕はただ彼女のこの上折れて来ようとするのを防ごうとだけ考えた。
が、彼女はそれっきり黙ってしまった。僕も黙ってしまった。そして僕は、これだけのことでも言ったので多少胸がすいたものと見えて、何も考えないで静かに眠ったようにしていることに、こんどは成功した。
「ね、ね。」
それからまた一、二時間してのことだろう。彼女は僕を呼び起すように呼んだ。
「ね、本当にもう駄目?」
「駄目と言ったら駄目だ。」
「そう、私今何を考えているのか、あなた分る?」
「そんなことは分らんね。」
「そう、私今ね、あなたがお金のない時のことと、ある時のこととを考えているの。」
「というと、どういう意味だい?」
「野枝さんが綺麗な着物を着ていたわね。」
「そうか、そういう意味か。金のことなら、君にかりた分はあした全部お返しします。」
僕は彼女に金のことを言いだされてすっかり憤慨してしまった。
「いいえ、私そんな意味で……」
彼女は何か言いわけらしいことを言っていた。
「いや、金の話まで出れば、僕はもう君と一言もかわす必要はない。