Classici giapponesi con furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Leggi 自由人 (じゆうじん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.030 caratteri · 139 schermate
何もない。煖炉棚の上の陶器類、戸棚の中にぴかぴか光ってる小筥類、それから卓子や椅子やクッションや絨緞など、どれもこれも、今時としては立派なものではあるだろうが、謂わば、どこにでもある普通なものに過ぎないじゃないか。要するに、特性がなく個性がない。この応接室は、お父さんのものとは限らず、誰のものだっていいんだ。凡そ応接室にあるべきものは一通り揃っているが、特別なものは何もない。万人向きの極めて平凡普通な応接室だ。」
千重子が黙っているので、八重子が言った。
「何の特長もないことも、やはり一つの特長だって、何かに書いてあったわ。」
「そんなことを言う奴は、個性というものを知らない阿呆さ。何の特長もないというのは、つまりゼロのことだよ。ところが1、2、3……または、マイナス1、マイナス2、マイナス3、……みなそれぞれ特性があり、個性がある。だが、ゼロにはなにもない。ゼロはどこまでもゼロさ。ゼロに個性があるかい。」
「あるわ。」
「じゃあ言ってごらん。」
「わたしにはうまく言えないわ。お姉さま、説明してよ。」
千重子は微笑していた。
「ふしぎねえ。順一さんは、お父さまの応接室のことなんか、勇敢に批評するけれど、お父さまの前に出ると、すっかり黙りこんで、ろくに口も利けないじゃないの。