Classici giapponesi con furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Leggi 自由人 (じゆうじん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.030 caratteri · 139 schermate
雨音は弱まり、風の息吹きが長くなった。話が途切れると、盤上の鉄丸のころがりだけが、心を奪った。
「あ。」
低い声を八重子が立てた。扉のところに、父が立っていた。単衣の着流しに帯をぐるぐる巻きつけてるだけだが、その頑丈な体躯と、禿げ上ってる額と、たじろがない眼差しとに、なにか威圧的なものがあった。
三人とも立ち上った。黙っていた。
父は真直に歩いて来た。
「なんだ、コリントか。」
にこりともせず、眉も動かさなかった。
父は室の中をぐるりと見廻した。
「遊んでしまったら、窓をよく閉めておきなさい。」
そして父は真直に出て行った。
三人はつっ立ったままでいた。父の出現は夢のような印象だった。風の音が急に耳に響いてきた。千重子は八重子を軽く突っついた。
「おやすみなさいと、なぜ御挨拶をしなかったの。」
「だって、お姉さまも、黙っていらしたんじゃないの。」
千重子は唇をきゅっと歪めた。窓の方へ行って、開いてる扉をしめきり、なにか考えながら戻ってきた。
「も少し、飲んでもいいかしら。」
「遠慮はいらないよ。お父さんだって、何とも仰言らなかったじゃないか。」
でも順一は、ふしぎそうに千重子の顔を眺めた。