Classici giapponesi con furigana
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りょうや
良夜
饗庭 篁村
Leggi 良夜 (りょうや) di 饗庭 篁村 (あえばこうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8173 caratteri · 16 schermate
目は眩み腹は揉める。死なざりし事を幸いとして、東京神田万世橋の傍らへ下ろされたり。この時の予はもとの新潟県下第一の豪傑穂垂周吉にあらずして、唖然たる癡呆の一書生なり。馬車の動揺に精神を撹乱し、単純なる空気を呼吸したる肺臓は砂煙りに混じたる汚濁臭穢の空気を吸い込み、馬車人力車の轟きさながらに地獄の如く、各種商店の飾りあだかも極楽の荘厳の如く恍然として東西を弁ぜず、乱雑して人語を明らめがたし。我自ら我身を顧りみれば孑然として小虫の如く、車夫に罵しられ馬丁に叱られ右に避け左にかがまりて、ようやくに志す浅草三間町へたどり着きたり。
足だまりの城として伯父より添書ありしは、浅草三間町の深沢某なり。この人元よりの東京人にてある年越後へ稼ぎに来りしが病に罹りて九死一生となり、路用も遣い果して難渋窮まりしを伯父が救いて全快させしうえ路用を与えて帰京させたれば、これを徳として年々礼儀を欠ず頼もしき者なればとて、外に知辺もなければこの人を便りとしたりしなり。尋ね着きて伯父の手紙を渡せば、その人は受取りて表書の名を見るより涙を溢して悦び、口早に女房にも告げ神仏の来臨の如く尊敬して座敷へ通し、何はさて置き伯父の安否を問い、幾度か昔救われたることを述べ、予が労れをいたわりて馳走かぎりなし。