Classici giapponesi con furigana
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しばいきょうぼうけん
芝居狂冒険
夢野 久作
Leggi 芝居狂冒険 (しばいきょうぼうけん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.334 caratteri · 21 schermate
その足で抜き足、さし足一番奥の湯殿へ忍び込んで、ピッタリと戸締りをしてから、電燈をひねった。
万平は鏡台の前に座って勇ましく双肌脱(もろはだぬ)ぎになった。鏡台の曳出(ひきだし)を皆開け放して、固練(かたねり)の白粉(おしろい)で胸から上を真白に塗りこくり、首筋の処を特に真白く、青光りする程塗上げた。鏡を覗きながら眉と、生(は)え際(ぎわ)を念入りに黛(まゆずみ)で撞(つ)き上げた。手首と足首を爪先まで白くする事も忘れなかった。それからお神さんの下着を着て昼夜帯を胸高に締め白い襟を思い切り突越した。それから鏡台の一番下の曳出(ひきだし)に詰まっているスキ毛を掴み出して元結(もとゆい)で頭にククリ付けた。その上から手拭を冠って今一度鏡を覗いてみた。
それは余り上出来ではなかったが、ともかくも気味の悪いなりに女の恰好に見えたので、万平は相当満足したらしい。ニヤリと笑って立上りながら今度は背後(うしろ)姿を写してみた。それから電燈を消して、足探りで台所草履(ぞうり)を穿いて、裏口へ出て、アトをピッタリと閉めた。
風呂場の横の裏口には、細長いタイルの破片が二つ三つ落ちていた。