Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
打ち破って、脱走しようか」といいだしたが、金五郎は、「そんなことしたら、他人に迷惑かける」といって、なだめた。
三度々々の食事は、マンが、差し入れした。
檻の中の囚人どもは、おかずの贅沢ばかりをいい、ときには、酒も注文した。ちびちびやりながら、中で、一日、将棋をさしている。
「おマンさん、今夜は、すき焼を頼む」
などと、いう。
マンは、笑って、七輪やら、鍋やら、砂糖、醤油、団扇、牛肉、葱、豆腐――すき焼に必要なものを入れてやる。
「まるで、旦那じゃな」
気楽な居食いの生活で、箱の中の二人は、日ごとに、まるまると、肥えた。
しかし、旦那の豪奢とはやはり違っていた。雨の日には、天井から雫がたれるし、風の日には、家全体が吹っ飛びそうに、ゆれ動く。床のすぐ下で、コオロギや地虫が鳴く。
夜は、もう寒い。ランプを消して寝ると、野犬が箱のまわりをうろつき、しきりに、遠吠をした。月の光も、冷たい。深夜、眼がさめると、コレラで死んだ幽霊たちが、あたりを徘徊しているように、不気味だった。
「花をあげましょ」
或る日、一升徳利を花瓶がわりにして、大束の菊の花を、マンが、小窓からさし入れた。