Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
化粧のことなど、考えたこともないのに、妖しいもので彩られて見える。
「やあ、食うた、食うた」
「なんでも屋」が、急いで、竿をあげると、また、小河豚である。
このとき、背後で、
「谷口マン、というのは、お前さんか?」
と、荒々しい声がした。
ふりかえると、四五人、遊び人風の、人相の悪い男たちが立っている。マンを、取りかこんだ。
マンは、びっくりして、立ちあがった。吸いつけていた煙草の火を、あわてて、帆前掛けで、もみ消した。
魚を釣りあげたばかりのところへ、突然、無頼漢があらわれたので、小胆な「なんでも屋」は、地面に、尻餅をついた。ふるえながら、そのまま、両手で、後すざりしはじめた。投げだされたヒガン河豚が、癇癪をおこして、まん丸くふくれあがり、石炭粉の中をはねまわっている。
「ちょっと、それを、収すな」
マンが、麻袋のなかに、煙管と、懐中ランプを入れようとすると、一段と背の高い、顎のしゃくった、茄子色の、角刈の男が、マンの右手をつかんだ。
「なにを、なさるんです?」
マンは、手をふりきった。
「その懐中ランプを、こっちによこせ」
「いやです」
マンは、あわてて、麻袋も、煙管も、ライターも、いっしょくたに、ふところに突っこんで、上から、両手でおさえた。