Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

などと、新之助がいったので、まさかのときの用心からかも知れない。しかし、マンは、魚釣り見物のため、現場を離れていたので、たった一人、掠奪団にとっては、もっけの幸というわけであった。

「さあ、出した、出した」

と、茄子色が、長い顎をしゃくる。

マンは、青ざめてはいたけれども、ふるえてはいなかった。きっと、唇を噛み、瞬時、ためらっていたが、ふところに右手をさしこんで、懐中ランプを取りだした。

「感心なねえちゃんじゃ。どれ、こっちに出しな」

長顎が、にたついて、そういったとき、マンの右手は高く伸びて、懐中ランプは、はるか海の彼方に、投げこまれていた。

青空に、銀色に光る小さなものが、弧をえがきながら、コポッと、波の上に、消えた。

「畜生奴」

四人の悪漢たちは、あっけにとられていたが、茄子色の男が、われにかえったように、怒りだした。歯糞のたまった、黄色い乱杭歯を、猿のように、むきだして、

「なんで、海に捨てやがった?」

「あんただちを、泥棒にすまいと思うたとです」

「泥棒に?……」

「あたしの持っている物を、無理に、取りあげたら、強盗でしょ? だから、あたし、捨てたとです。