Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
まもなく、一円札を十枚揃えてあらわれた。
「おマンさんのことじゃけ、まちがいあるまい。詳しいことは、明日、聞こう」
「ありがとうございます」
それを受けとると、走るように、わが家に急いだ。
秋の夜気が冷たく、襟首にしみる。月は氷の塊のようである。
帰ってみると、家の中では、活劇が展開されていた。泥棒が出刃庖丁をふるって、猫とたたかっている。七匹いる猫のうち、勇敢で忠実な数匹が、怪しい闖入者に向かって、背の毛を逆立ちにし、歯をむきだして、唸りながら、対峙していた。泥棒は屁っぴり腰で、庖丁をふりまわし、ただ、「シイッ、シイッ」と、追っているばかりだ。
マンの姿を見ると、猫は静まった。鳴き声を立てて、マンに寄って来た。
「借って来てあげましたよ。……ほら」
マンは、十枚の一円札をさしだした。
泥棒は、ふるえる手で、それを不器用に数えていたが、なにか考えこむように、黙りこんでしまった。洟水をすすりあげている。やがて、顔をあげた。
「こ、こんなには、要らん。六円あれば、間に合う。四円はかえす」
「ええですよ、持って行きなさいよ」
「いんや、六円で、ええ。あんたも借りたもんなら、またかえさにゃなるまい。