Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

「今年は、女の子ならええけど、……」

翌年、女の子が生まれた。文子と命名。

それから、マンは、まるで、命の製造機械かなにかのように、次々と、子供を生んだ。そして、年子のようにして、勝則、文子、政雄、秀子、国子、と、家族が増してゆく間に、「玉井組」も次第に膨脹して、時代は、明治から、大正に移っていた。

大正三年一月十二日、桜島が大爆発をした。鹿児島南端の山から吹きあげた火山灰は、風に乗って、北九州の空まで流れて来た。勝則は、小学二年生であったが、学校の校舎の屋根は雪が降ったように、まっ白になっていた。天気なのに、母のマンから、灰よけに、傘をさして行け、といわれた。多くの者が傘をさしていた。

この年、第一次世界大戦、勃発。

玉井家は、正保寺町に移転していた。前の新仲町とは裏表で、一町とは離れていない。新築したのである。長男の勝則の外はみなこの家で生まれた。

裏庭は、菊の好きなマンが花畑にしてしまい、家の中には、相かわらず、猫がうようよしていた。そうして、欅箪笥の抽斗は、三段ほど、助広の短刀をはじめとして、日本刀で埋められていた。

「お父さん」もう、あなた、と呼ばず、マンはそう呼ぶようになっていた。