Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

「なんのですか?」

「漁業のたい。わかっとるじゃないか」

「持ちません」

「ここは、禁漁区だ。鑑札がなけりゃ、違犯だ。署まで来い」

「すみません。禁漁区ちゅうことを知らんじゃったことですけ、こらえて下さい。これから、気をつけます」

「どうも、たちが悪い。漁業組合から、毎々、抗議が出とる。見せしめだ。来い。豚箱に入れてやる」

「ほんとに、知らんでしたこと、堪忍して下さい。謝ります」

「謝って、すむことか。なんでもええから、来いちゅうたら、来い」

金五郎は、むっとしたが、腹の虫をおさえて、

「わたしは、玉井金五郎です。いずれ、署までお詫びに出ますけ、豚箱だけはお助け下さい」

「ならん。金五郎か、銀五郎か知らんが、罪を犯して、逃れようなんて、虫のええ奴じゃ。……来んか」

「行かん」

はげしい語調だった。

「来ん? 横着な奴ちゃなあ。お上の命令に反く気か」

「反く。なんば、お上風吹かしたって、弱い者いじめの命令には、服されん。禁止区ちゅうことを知らんじゃったもんじゃけ、これだけ、謝っとるんじゃ。わたしが、あんたなら――これから、気をつけなさい。……というて、許すよ。それに、あんた、この若松で、玉井金五郎を知らんで、よう、巡査が勤まるなあ。