Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
危険感はまったくなかった。彼等に殺意のないことを、金五郎は、敏感に、看破した。しかし、笑いだしたい衝動を、無理な渋面で押し殺して、すこしふるえ声でいった。
「大層、派手に、わたしを嚇かしなさるが、どげなわけかね?」
「嚇かしじゃありませんです。場合によっては、命を頂戴します」
そういう、隊長らしい、長身の四十男を、金五郎は、どこかで逢ったように思ったけれども、はっきりした記憶がなかった。そういえば、暴力団連中の顔も、どれもこれも、見たようだと思うだけで、名前を知っている者は一人もいない。
隊長の両腕に、唐獅子の彫青が見える。いやに落ちついた、馬鹿叮嚀な言葉つきで、夜目にも白く眼の光る、ちょっと凄味のある男である。きっと、今夜の演出家にちがいない。
「場合によっては、というのは?」
金五郎は、懐手をしたまま、訊ねた。懐手をしていることは危険にきまっているが、敵の芝居気が伝染したのである。
「わたしは使者ですから、言付だけを伝えます」
「聞こう」
「民政党に入党して下さい」
「せん」
「今夜が最後の勧告です。もう、選挙も間近に迫っています。民政党は十八日の大安に、一斉届出、中立聯盟はそれよりすこし先とのこと、あなたが中立団として届出するまえに、こうやって、最後の決意をうながす次第です。