Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
殴ったといった方がよい。
原田は、びっくりして、突然、ゼンマイの切れた時計のように、鳴りやんだ。
「ドテラ婆か? たまげるじゃないか」
「涙を拭きなさいよ」川野ノブは、煮しめたような醤油色の手拭で、原田の頬と眼とをぬぐってやってから、「おれだって口惜しいよ。おれの応援した人は、みんな落ちたよ。若松という街は、こげなところさね。じゃが、原田先生――敗軍の将、兵を語らず。……なんにもいわんで、「六ゾロ」にでも行って、一杯、ひっかけるとしまッしょ」
「それがええ。それがええ」
誰かがそういったので、また、群衆は哄笑でどよめいた。
「ドテラ婆、まだ、戦いはすまん。大事な戦闘中に飲むのは、武士のすることじゃなか。わしが落ちたことはあきらめる。大将のことが気がかりじゃ。玉井さんのところへ、行ってみよう」
「そんなら、おれもお伴しよう」
どちらも、並はずれた巨躯の男と女とが、肩をならべて去って行く後姿に、街の人々は、さらに、ひとしきり、笑いさざめいた。たしかに、剽軽な姿である。
しかし、中には、同情者があって、
「そんなに、人を嘲るもんじゃないよ。天に唾して、自分で自分の顔を、汚すことになるかも知れんけんな」