Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

金五郎は、甲板から、ロープを伝って降りて来た。六段に吊られてある棚の三段目に立った。微笑をふくんで、

「そら来い、そら来い」

と、調子をとるように、両手を上げ下げした。

汽船の舷側に、風変りな雛壇が作られたような具合である。長さ一間、幅は下に行くほど広くなる板が、ロープで、六段に吊られ、一段に二人ずつ、美しい雛のかわりに、ごつい沖仲仕が立っている。

艀の中にいる、「入れ鍬」と称する仲仕たちが、直径一尺三寸ほどの丸籠に、雁爪で、石炭を入れる。それが、一つずつ、棚立ちの仲仕によって、敏速に、下から上へ押しあげられる。天狗とり荷役である。

活溌な作業が、開始された。

「玉井、たまげたぞう」

金五郎の上段に立っている助役が、籠を送りながら、話しかけた。

「すみません」

「すまんこたない。殊勲甲じゃ。それでも、一時は、どうなることかと思うたわい」

「ボーシンに、話して行く間がなかったもんですから……」

「勘弁してくれ。さっきまでは、お前がケツ割ったもんとばっかり、思うちょった。浜に出てみりゃ、道具を積んだ小伝馬は居らんし……」

「今朝、眼がさめてから、わたしも気づいたんです。