Classici giapponesi con furigana
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あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
Leggi 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.046 caratteri · 104 schermate
何でもないんだがね。近頃はだんだん年はとるし、物は高くなるし、どこへ行っても面白くないことずくめだからね。退屈しのぎに時々むかしの人のお墓をさがしあるいているんだよ。」
「見ぬ世の友をしのぶというわけで。」
「宗さん。お前さん、俳諧をやんなさるんだっけね。」
「イヤモウ。手前なんざ、ただもう、酔って徘徊する方で御在ます。」
話をしながら本堂の裏手へ廻って墓場へ出ると、花屋の婆は既にとある石塔のまわりに手桶の水を打ち竹筒の枯れた樒を、新しい花にさしかえ、線香を手に持って、宗吉の来るのを待っていた。見れば墓石もさして古からず、戒名は香園妙光信女としてあるので、わたしは何心もなく、
「おふくろさんのお墓かね。」
「いえ。そうじゃ御在ません。」と宗吉は袂から珠数を取出しながら、「先生だからおはなし申しますが、実は以前馴染の芸者で御在ます。」
「そうかい。人の事はいえないが、お前さんも年を取ったな。馴染の女の墓参りをしてやるような気になったかな。」
「へへえ。すっかり焼きがまわりました。先生お笑いなすッちゃいけません。」と宗吉はしゃがんで、口の中に念仏を称えていたが、やがて立上り、「先生、この石塔も実は今の嚊には内々で建ててやったんで御在ます。