Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くのうのねんかん

苦悩の年鑑

太宰 治

Leggi 苦悩の年鑑 (くのうのねんかん) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7798 caratteri · 16 schermate

Aozora Bunko

本当に、それは、事実なのである)朝、眼がさめてから、夜、眠るまで、私の傍に本の無かった事は無いと言っても、少しも誇張でないような気がする。手当り次第、実によく読んだ。そうして私は、二度繰り返して読むという事はめったに無かった。一日に四冊も五冊も、次々と読みっ放しである。日本のお伽噺よりも、外国の童話が好きであった。「三つの予言」というのであったか、「四つの予言」というのであったかいまは忘れたが、お前は何歳で獅子に救われ、何歳で強敵に逢い、何歳で乞食になり、などという予言を受けて、ちっともそれを信じなかったけれども、果してその予言のとおりになって行く男の生涯を描写した童話は、たいへん気にいって二、三度読みかえしたのを記憶している。それからもう一つ、私の幼時の読書のうちで、最も奇妙に心にしみた物語は、金の船というのであったか、赤い星というのであったか、とにかくそんな名前の童話雑誌に出ていた、何の面白味も無いお話で、或る少女が病気で入院していて深夜、やたらに喉がかわいて、枕もとのコップに少し残っていた砂糖水を飲もうとしたら、同室のおじいさんの患者が、みず、みず、と呻いている。