Classici giapponesi con furigana
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ちゃがゆのき
茶粥の記
矢田 津世子
Leggi 茶粥の記 (ちゃがゆのき) di 矢田 津世子 (やだつせこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.568 caratteri · 30 schermate
鮑はちょうど食べかげんのこたえられない味ですな。輪島産のも……あの塗物で有名な能登の輪島ですな、あそこの鮑も結構なもんです。鮑の中のお職ですな。外向きは実に堅い。ちょっと歯をあてたぐらいでは、へこまない。ところが噛ってみると実に柔らかなんだ。コリコリと……そのくせ、こいつが舌の上でとろけていく。外柔内剛、いや外剛内柔か。あれが鮑の中の鮑でさ」
良人の話はだんだん熱をおびてくる。聞き手たちもあれこれと口をはさむ。
「その話で一杯やりたくなった」
などと番茶を啜ってみせる老人もいる。
良人の話がはずむ。そして次第に凝っていく。普茶料理が出る。黄檗普茶のその謂われから入る。黄檗でも殊に天麩羅は良人の得意で、先頃も知人の経営している「栄養と家庭」にも紹介したし、新聞の家庭欄でも述べたことがあった。胡麻油などをつかう並みの天麩羅とちがって黄檗のは古い種油と鼠の糞のようなボトボトの堅いメリケン粉を用いる。この粉を水に溶く段取りになると、良人は手真似で、太い箸で器の向う側からガクガクと引っ掻くような仕草をする。丁寧にかきまわしたのでは粘りが出て、油揚げの特徴のカラリとした出来にならない。