Classici giapponesi con furigana
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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
Leggi 草迷宮 (くさめいきゅう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.733 caratteri · 142 schermate
そうか、と云って、夜夜中、外へ遁出すことは思いも寄らず、で、がたがた震える、突伏す、一人で寝てしまったのがあります、これが一番可いのです。坊様は口の裏で、頻にぶつぶつと念じています。
その舌の縺れたような、便のない声を、蚊の唸る中に聞きながら、私がうとうとしかけました時でした。密と一人が揺ぶり起して、
(聞えますか、)
と言います。
(ココだ、ココだ、と云う声が、)と、耳へ口をつけて囁くんです。それから、それへ段々、また耳移しに。
(失物はココにある、というお知らせだろう、)
(どうか、)と言う、ひそひそ相談。
耳を澄ますと、蚊帳越の障子のようでもあり、廊下の雨戸のようでもあり、次の間と隔ての襖際……また柱の根かとも思われて、カタカタ、カタカタと響く――あの茶立虫とも聞えれば、壁の中で蝙蝠が鳴くようでもあるし、縁の下で、蟇が、コトコトと云うとも考えられる。それが貴僧、気の持ちようで、ココ、ココ、ココヨとも、ココト、とも云うようなんです。
自分のだけに、手を繃帯した水兵の方が、一番に蚊帳を出ました。
返す気で、在所をおっしゃるからは仔細はない、と坊さんがまた這出して、畳に擦附けるように、耳を澄ます。