Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さやえんどうのむし

莢豌豆の虫

佐藤 垢石

Leggi 莢豌豆の虫 (さやえんどうのむし) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1556 caratteri · 3 schermate

Aozora Bunko

私は、川虫の餌をつけて、幾度も脈釣りで流した。けれども、一度も当たりがない。

ふと、眼の前の空間をみると、水楢の枝から青虫が一匹ぶら下がった。前にも書いた榎から、青虫が垂れ下がった姿と同じようであった。私は、その青虫を見つめていると、青虫は次第次第に糸をひいて水面近く垂れ下がっていく。

青虫が、およそ水面から一尺ばかりのところへ垂れ下がったと思うとき、水面にガバッという音が起こった。飛沫が、乱れ散った。山女魚の大ものが、躍り出したのだ。そして、垂れ下がってくる青虫を食ったのだ。あとは、再び静寂にかえった。

山女魚が、低い宙を飛ぶ羽虫を追って、水面から跳ね上がるのは毎日見ている。珍しいことではない。だが、青虫をにらんで水底から水面へ一尺も飛び上がるのは、めったに見ないことだった。よほど、山女魚は青虫を好むものと見えると、感心したのであった。

それから釣り上がって、二十数尾の漁果を収め、戸倉の宿へ帰って、釣った山女魚や岩魚の腹を割いてみた。そして、胃袋を開いて細かに検すると、青虫の骸がその山女魚や岩魚の胃袋にも、数多く入っていた。

初夏の渓流魚は、殊のほか青虫を好むものだから、明日はこの餌を捕ってやってみよう、という考えを起こしたのである。