Classici giapponesi con furigana
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きくちよしょう
菊千代抄
山本 周五郎
Leggi 菊千代抄 (きくちよしょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.178 caratteri · 72 schermate
ということで、実は大洗の方面を廻ったりしたんですが、ひょいとこちらの屋形を思いだしたもんでね、御祝儀だけでも申上げなければなるまいというわけで参上した、……つまりそんなようなことで、実のところもうなってないようなものなんですが、そんなこんなでまあ、やっぱり絵でも描いてゆこうかと思わざるを得ないですよ」
主税は五日滞在した。そのあいだ酒ばかり飲んで、いかがわしい唄をうたい、「ここには色っぽい腰元などいないですか」などと松尾に云ったりした。
「これだけの屋形で腰元がいないというのは淋しいですなあ、だいいちまだ殿さまが独り身でいるというのがおかしい、私はそこは遠慮なく申上げるたちですが、奥方をお迎えにならんとすればですね、もしそうとすればですね、これははっきり云いますけれど、やっぱりそこはきれいなのを四五人お側へ置かなければいけないと思う、……これは自然に反しますよ、私は断じて……」
酔うと着たまま寝所へもぐりこみ、眼がさめるとすぐに酒である。菊千代は二度ばかり相手になってやっただけで、あとは帰るまで松尾に任せきりだった。……矢島弥市は初めて主税を見るので、その傍若無人なありさまには、ひどく驚いたらしい。