Classici giapponesi con furigana
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きくやしき
菊屋敷
山本 周五郎
Leggi 菊屋敷 (きくやしき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.620 caratteri · 71 schermate
はいと晋太郎は頭を垂れた、志保はその額のあたりを見まもって、「ではその着物は納って置きましょうね」と云った。
その前後から、忌日に集る門人たちのなかに、江戸詰めになって去る者があり、新しく加わって来る者がありして、かなり顔ぶれが変っていった。杉田庄三郎はやはりおなじ位置にいたが、青江市之丞が去って吉岡助十郎という者が代り、そのほかときおりは他藩の者も来るようにみえた、……そういう人の異動を知るたびに、志保はいつもあの手紙の主を思わせられた。いちどは庄三郎に違いないと考えたが、そうきめる根拠がないために、やっぱり十七人のなかの誰かというよりほかになく、去ってゆく者のあるたびに「もしやあの方ではないか」という気がしたり、「……いやあの方はお若すぎる」と否定したりする、そういうときの気持は、しかしもうずっとおちついたものになっていて、どうかすると物語でも読んでいるような、現実から離れた美しさをさえ感ずるのだった。
園部夫妻が長崎からの帰りにたち寄った、その明くる年の二月のことである。珍らしくが五羽も到来したので、志保とお萱とで手料理を作り、忌日に集った門人たちに馳走をした、これまでにもおりおり食事くらいは出していたが、料理に酒まで付けたのは初めてのことで、みんなよろこんで膳に就いて呉れた。