Classici giapponesi con furigana
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なおこ
菜穂子
堀 辰雄
Leggi 菜穂子 (なおこ) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 88.758 caratteri · 173 schermate
どうなさったのですか?
私がこの手紙を読むそばに、若しお前がおいでだったら、私にはこの手紙はもっと深い意味のものにとれたかも知れない。しかし、私一人きりだったことが、読んだあとで平気でそれを他の郵便物と一緒に机の上に放り出させて置いた。それが私にこの手紙をごく何んでもないもののように思い込ませて呉れた。
同じ日の午後、明さんがいらしって、お前がもう帰京されたことを知ると、そんな突然の出発が何んだか御自分のせいではないかと疑うような、悲しそうな顔をして、お上りにもならずに帰って行かれた。明さんはいい方だけれど、早くから両親を失くなされたせいか、どうもすこし神経質すぎるようだ。……
この二三日で、ほんとうに秋めいて来てしまった。朝など、こうして窓ぎわに一人きりで何んということなしに物思いに耽っていると、向うの雑木林の間からこれまではぼんやりとしか見えなかった山々の襞までが一つ一つくっきりと見えてくるように、過ぎ去った日々のとりとめのない思い出が、その微細なものまで私に思い出されてくるような気がする。が、それはそんな気もちのするだけで、私のうちにはただ、何んとも云いようのない悔いのようなものが湧いてくるばかりだ。