Classici giapponesi con furigana
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おちてゆくせかい
落ちてゆく世界
久坂 葉子
Leggi 落ちてゆく世界 (おちてゆくせかい) di 久坂 葉子 (くさかようこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.725 caratteri · 40 schermate
昔、その茶室で四季にかならず御茶会をしておりました。湯のたぎる音、振袖のお嬢さんや、しぶい結城などきた奥様の静かな足さばき。ぽんとならすおふくさ。今は、青くしっとりしていたたたみも、きいろくところどころやぶれておりました。
「雪ちゃん、おばさん今日から一日を五十円以下で済まそうと思ってるのよ。朝は番茶とパン、おひるは漬物と佃煮、夜は一日おきに蒲ぼことちくわ」
叔母はそう云ってからから笑いました。この叔母のお嫁入の頃は家の全盛時代でしたから、そのお嫁入のお仕度は、叔母の美貌と共に随分世間に評判になったのでした。あの頃の追憶ばなしを父や叔母は度々いたします。何しろ私達が生まれる頃はやや降り坂だったらしく、その豪華版を私はしりませんでしたけれど、父の生まれた所など通りすがりに眺める度に茫然とするのでした。その屋敷は戦前人手に渡り水害のため全壊し、又空襲でわずかにのこった門番小屋や大門も焼けてしまっておりました。園遊会の写真などを土蔵の隅にみつけ出したりする時に、こんな生活を羨しがったり、或いは祖先がそういう生活をしたと得意がる以上に、明日知れぬ運命をおそろしくさえ思うことが度々ありました。