Classici giapponesi con furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Leggi 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) di 小山 清 (こやまきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.741 caratteri · 486 schermate
一人の詩人の心が私の心に通ってきました。私は自分の心がその詩とともに流れてゆくのを覚えました。「いいですね。」と私が眼を輝かして云うと、彼は深く同感の意をあらわしてうなずきました。どうでしょう、私の心に自信が湧いてきたのです。私が自分の才能と認めているものは悉く一種の自己欺瞞なのではあるまいか。私にあるただ一つの情熱、自分はもうそれを恃むわけにはゆかない。私の若い力は一度も験されることなくして既に挫折してしまっているのではあるまいか。そのきわまで私の心はこういう疑惑に苦しめられていたのですのに。私はその詩集から二、三の詩を自分の手帳に写しとりました。その間彼は何かを読んでいるようでした。写し終って見ると、彼が読んでいたのは思いがけなくも最初の訪問の際私が彼の許に置いていった詩稿なのでした。彼はそれに眼を注ぎながら、自分につぶやくでもなくまた私に聞かせるともなく云いました。「素質はあるのだなあ。」彼の態度にも声にも、行き悩んでいる後進を思う心があらわれていました。嬉しさが胸にきました。初対面の時の直感、その時以来いつも私の心のなかにあって忘れかねていたもの、それが私を欺かなかったからです。