Classici giapponesi con furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Leggi 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) di 小山 清 (こやまきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.741 caratteri · 486 schermate
見ると田中は襯衣だけで上衣は引っかける間がなかったらしい。それにしてもそのガタガタは寒いばかりじゃないらしいのだが、ともかく上衣を着に家の中に引き返し、また防空壕に納まると、『太宰さん、呑んじゃいましたね。』と口惜しそうに云うんだ。その時になって迎い酒のことを思い出して、上衣を着てくるついでにひっかけてくるつもりだったらしい。『そこに抜かりはあるものか。』と云うと、『これを持ってきました。』と云って、上衣のポケットから配給のカツ節を取り出して見せるんだがね、田中としてはつまり籠城の食糧のつもりなのだろう。あわてているよ。田中はふだんもそんな風でね、いつかも人の家で酒を呑んでいて、便所へ立ったと思うと、そこの家の猫を抱いてきて曰くさ、『厠りを少し汚しました。猫を抱いて来ました。』つまり猫を抱いてきたのがお詫びのつもりなんだ。とんちんかんな男だね。」
「それで、小山さんはどうしました?」
「小山に至っては論外だね。ただもう神気朦朧として半分恍惚状態だったそうだ。」
「それは脳貧血を起す一歩手前の症状ですわ。」
「そうだろう。小山はどうも脳の神経組織が人並みではないのじゃないかと思われるふしがあるんだよ。