Classici giapponesi con furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Leggi 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) di 小山 清 (こやまきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.741 caratteri · 486 schermate
私も漸く笑いをしずめて、それでも咄嗟に思いつき、
「中年の恋と云えば、花袋という人は面白い人だね。」
彼女はまだ半信半疑の表情のまま、「『蒲団』ですか?」
「君も読んだかね。あの小説に主人公が酒を呑んで、どてらを着たまま便所の中にぶっ倒れて、不貞寝をする場面があるじゃないか。面白いね。」
「さあ? よく覚えておりませんけど。」
そんな末梢的なところは記憶にないって顔だ。
「僕は最近花袋を読み返してみたけど、みんな巧いね。晩年の短篇なんか面白いのがあるよ。題名は忘れたが、花袋がね、女と女のお袋を連れて旅をするんだけど、花袋と女の間がうまくゆかなくて、間に立ってお袋が独りで気を揉んだりするんだが、往来の真中で花袋がむくれて信玄袋を抛り出す場面があるんだ。面白いよ。」
「先生は、へんなところにばかり感心なさるのですね。」
「だって信玄袋は面白いじゃないか。花袋の面目躍如たるものがあるよ。これは是非とも信玄袋でなければいけない。これがスーツケースかステッキなんかじゃ駄目なんだ。花袋って人は不細工な信玄袋をぶらさげて生涯を歩き通したって感じがしないかね。僕にはなんだか現今の作家は押しなべて、みんな細身のステッキかなんかをついて気取っているように思えるんだ。