Classici giapponesi con furigana
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おちばのとなり
落葉の隣り
山本 周五郎
Leggi 落葉の隣り (おちばのとなり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.877 caratteri · 57 schermate
「ねえな」と参吉が答えた、「――おれにゃあずっと、かあちゃんがいなかったから」
繁次は頭を垂れた。
「長屋の者が悪く云ってるってことは知ってるよ」と参吉が云った、「人のわる口を云うのに銭はかからねえからな、云いたい者には云わせておけばいいさ」
それからさらに云った、「そんなことを気にしてくれなくってもいいぜ、繁ちゃん」
繁次は黙って頷いた。
おれとは段が違うんだな、とあとで繁次は思った。おひさに蟹を捕ってやっていたときのこと、鉄や与吉を追っぱらってくれたが、どなりもしなかったし威しもしなかった。
――いっちまえよ、鉄。
そう云った静かな声が思いだされた。まだこっちは坊主頭で遊び相手もないとき、将棋をやろうと云ってくれた。知らなければ覚えればいいさ、うちへ来ないか。そうして、覚えの悪いおれに、半年も辛抱づよくつきあってくれた。
――おめえはだめだな。
舌打ちをしてそう云われたとき、おれはのぼせあがるほど癪に障った。癪に障ったのは本当はあいつのほうだったろう、半年も辛抱づよく教えたのに、いつまで経っても手があがらない。誰だっていいかげん飽き飽きするさ、それをおれはかっとなって殴りつけた。