Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
おちばのとなり
落葉の隣り
山本 周五郎
Leggi 落葉の隣り (おちばのとなり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.877 caratteri · 57 schermate
繁次はしゃがんだまま、両手を固く握り合せ、それを額へぐいと押しつけた。
「それがほんとなら」と繁次はよく聞きとれない声で云った、「――いや、いまでもそう思っていてくれるのか」
おひさは答えなかった。呼吸五つほど数えても答えのないことで、繁次にはおひさの気持がおよそわかった。
「参吉はもうだめだぜ」と繁次が云った、「あいつは小村屋の娘を貰うだろう、だが、それも長続きはしないだろうし、職人としても立ち直ることはできやしないぜ」
「だめなことはあたしも同じよ」とおひさが云った、「――薪小屋の前であの人に抱かれたとき、あたし、これが繁ちゃんなら、って思ったわ、あんなふうに抱かれるなんて夢にも思わなかったし、抱かれるとすぐに、これが繁ちゃんだったらいいのにって思った、おかしいようだけれど、いまでもそのことは覚えているのよ」
「おれには、とても」と繁次が口の中で呟いた、「とてもそんな勇気はありゃあしねえ、けれどもおれは」
「いいえだめ、もうだめなの」おひさはそっとかぶりを振り、なんの感情もない声で遮った、「繁次さんがあたしのこと、あの人が好きだと思いこんで、いつまでもそう思いこんでいるのを見ているうちに、あたしあの人のことが本当に好きになってしまったの」