Classici giapponesi con furigana
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いっぺいそつ
蒲団・一兵卒
田山 花袋
Leggi 蒲団・一兵卒 (いっぺいそつ) di 田山 花袋 (たやまかたい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.948 caratteri · 59 schermate
病兵の顔は蒼ざめて、死人のように見えた。嘔吐した汚物がそこに散らばっていた。
「どうした? 病気か」
「ああ苦しい、苦しい……」
とはげしく叫んで輾転した。
酒保の男は手をつけかねてしばし立って見ていたが、そのまま、蝋燭の蝋を垂らして、テーブルの上にそれを立てて、そそくさと扉の外へ出ていった。蝋燭の光で室は昼のように明るくなった。隅に置いた自分の背嚢と銃とがかれの眼に入った。
蝋燭の火がちらちらする。蝋が涙のようにだらだら流れる。
しばらくして先の酒保の男は一人の兵士を伴って入ってきた。この向こうの家屋に寝ていた行軍中の兵士を起こしてきたのだ。兵士は病兵の顔と四方のさまとを見まわしたが、今度は肩章を仔細に検した。
二人の対話が明らかに病兵の耳に入る。
「十八聯隊の兵だナ」
「そうですか」
「いつからここに来てるんだ?」
「少しも知らんかったんです。いつから来たんですか。私は十時ころぐっすり寝込んだんですが、ふと目を覚ますと、唸り声がする、苦しい苦しいという声がする。どうしたんだろう、奥には誰もいぬはずだがと思って、不審にしてしばらく聞いていたです。