Classici giapponesi con furigana
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ばらふじん
薔薇夫人
江戸川 乱歩
Leggi 薔薇夫人 (ばらふじん) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8967 caratteri · 19 schermate
「ちょっと、手を洗って来ますから、そこに掛けてて」
婦人は寝室の中へ姿を消した。そちらに浴室もあるらしく思われた。
十分ほど待たせて出てきた時には、黒ビロードのナイトガウンのようなものと着がえていた。そして、小さな銀盆の上に洋酒の壜とグラスを二つのせたのを持っていた。浩一に向き合った椅子にかけて、グラスに手ぎわよく洋酒をつぎ、その一つを彼の方にさし出しながら、突然、
「あなたご両親は?」
とたずねた。
ビロードのガウンには、真赤な絹の裏がついていた。身動きをするたびに、それがめくれて、つややかな二の腕や足が見えた。ガウンの下には何も着ていないらしく、からだ全体の線が、柔かいビロードごしに、そのまま眺められた。なんてすばらしいからだだろうと思った。ふと、あの聖母に似て、聖母よりもなまめかしい裸女の巨像が、浩一の頭をかすめた。
「両親なんてないのです」
グラスの強い酒が、浩一ののどをカッとさせた。彼はおとぎ噺の主人公でもなったような気持だった。おとぎ噺の中では、或いは映画の画面では、浩一に当る青年は、どんなしぐさをするのだろうと思ったりした。
「ぼくは、親も兄弟もないんです。