Classici giapponesi con furigana
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あいみじんのきもの
藍微塵の衣服
田中 貢太郎
Leggi 藍微塵の衣服 (あいみじんのきもの) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1624 caratteri · 4 schermate
老人は頷いてちょいと口をつぐんでいたが、
「なんの心残りがあるんだろう」と半ば独言のように云った。
「そうですとも、弔いはあんなにしてあるし、何も不足はないはずだが」所天はこう云った後で、傍にいる後妻のほうを見て、「小供はお前があんなに可愛がってくれるし、不足はないはずだ、もし、今度そんなことがあったら、俺が叱ってやるから、俺を起してくれ」
その翌晩、所天と後妻は、女の子を中にして何時ものように奥の八畳で寝ていた。そこは土蔵に隣った室で、次に四畳半位の仏壇を置いた室があって、そのさきが縁側になり、それが土蔵の口に続いていた。
そのうちに後妻の睡りが覚めた。後妻は怖ごわ眼を開けて暗い中を見た。と、枕頭から右横になった仏壇の間との隔の襖が何時ものように開いて、また、藍微塵の衣服を着た女が幻燈に映し出されたようにはっきりと現れて、敷居の上あたりに坐って白い手を突きかけた。後妻はふと所天が己を起せと云った事を思い出したので、手を延ばして所天の肩を揺った。
所天が眼を開けて見ると、後妻が己を起しているのですぐそれを悟って首を擡げて見た。女はもうお辞儀をやっていた。