Classici giapponesi con furigana
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋
菊池 寛
Leggi 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.078 caratteri · 25 schermate
が、あの宗清で顔つなぎの酒盛があった晩のことじゃが、藤様は狂言の工夫に屈託して、酒盛の席を中座され、そなたたちは、追々酔いつぶれて、別間へ退かれた後のことじゃのう。藤様が、蒼い顔して、息を切らせながら、酒宴の席へ帰って来られると、立てつづけに、大杯で三、四杯呷ってからいわれるのに、「千寿どの安堵めされい。狂言の工夫が付き申した」と、いわれたが、平生の藤様とは思われぬほどの恐い顔付きじゃったが、あの晩に……。(と千寿が首を傾けているとき、下手の入口から宗清のお梶が、ひそかに入って来るのに気がついて、口をつぐむ)
弥五七 (役者の道化振りを発揮して)これは、これはお梶どの。ようおいでなされました。ちょっとお尋ねしまする。藤十郎どのが、狂言の稽古の相手はあなた様ではござりませぬか。
お梶 (緊張しながら、しかもつつましやかに)なんでござりまする。藪から棒のお尋ねでござりまするのう。
弥五七 (やはり道化た身振りで)藤十郎どのが、今度の狂言の稽古に、人の女房に偽りの恋をしかけ、靡くと見て、逃げたとのことでござりまする。もしやお心当りがござりませぬか。
お梶 (つつましやかに、態度をみださず)偽りにもせよ、藤十郎様の恋の相手に、一度でもなれば、女子に生まれた本望でござりますわい。