Classici giapponesi con furigana
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋
菊池 寛
Leggi 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.078 caratteri · 25 schermate
藤十郎 (千寿の振り返った目を避くるように、目をそらしている)……。
弥五七 いかにも宗清のお内儀じゃ。短刀で胸の下をたった一突きじゃ。
四郎五郎 今ここで話して行かれたのに、瞬く間の最期じゃ。藤十郎様、御覧なされませ、いかな子細かは分かりませぬが、女子には希な見事な最期じゃ。
藤十郎 (引き付けられたように、歩み寄りながら、じっと死顔に見入る。言葉なし)……。
若太夫 (息せきながら、駆け込んで来る)何事じゃ。何事じゃ。なに女の自害! やあ宗清のお内儀じゃ。いかな子細かも知らぬが、なにも万太夫座の楽屋で、自害せいでもよいのを。
千寿 ほんに、楽屋に死にに来ないでも。(ふと、藤十郎の顔を見て黙る)……。
弥五七 こんな不吉なことが、世間に知れると、せっかく湧き立った狂言の人気に、傷が付かぬものでもない。
若太夫 ほんにそれが心配じゃ。皆様、他言は無用にして下されませ。
藤十郎 (黙って死骸を見詰めていたが、急に気を変えて)なんの心配なことがあるものか。藤十郎の芸の人気が女子一人の命などで傷つけられてよいものか。(千寿の手を取りながら)さあ、千寿どの舞台じゃ。
千寿 (真実の女のごとくやさしく)あいのう。