Classici giapponesi con furigana
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やぶのなか
藪の中
Leggi 藪の中 (やぶのなか) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8487 caratteri · 17 schermate
わたしは男を片附けてしまうと、今度はまた女の所へ、男が急病を起したらしいから、見に来てくれと云いに行きました。これも図星に当ったのは、申し上げるまでもありますまい。女は市女笠を脱いだまま、わたしに手をとられながら、藪の奥へはいって来ました。ところがそこへ来て見ると、男は杉の根に縛られている、――女はそれを一目見るなり、いつのまに懐から出していたか、きらりと小刀を引き抜きました。わたしはまだ今までに、あのくらい気性の烈しい女は、一人も見た事がありません。もしその時でも油断していたらば、一突きに脾腹を突かれたでしょう。いや、それは身を躱したところが、無二無三に斬り立てられる内には、どんな怪我も仕兼ねなかったのです。が、わたしも多襄丸ですから、どうにかこうにか太刀も抜かずに、とうとう小刀を打ち落しました。いくら気の勝った女でも、得物がなければ仕方がありません。わたしはとうとう思い通り、男の命は取らずとも、女を手に入れる事は出来たのです。
男の命は取らずとも、――そうです。わたしはその上にも、男を殺すつもりはなかったのです。所が泣き伏した女を後に、藪の外へ逃げようとすると、女は突然わたしの腕へ、気違いのように縋りつきました。