Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょこうのはる

虚構の春

太宰 治

Leggi 虚構の春 (きょこうのはる) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.586 caratteri · 108 schermate

Aozora Bunko

からころと駒下駄の音が私を追いかけ、私のすぐ背後まで来てから、ゆっくりあるいて、あたし、きめてしまいました。もう、大丈夫よ、先刻までの私は、軽蔑されてもしかたがないんだ。

――非常に素直な人なんだね。

――そうです、そうです。判って呉れましたね? やっぱり、お話し申しあげてよかった。もっと、もっと聞いて下さい。

――よし。ぜひとも、聞かせて下さい。竹や、お茶。

――飛びこむよりさきにまず薬を呑んだのです。私が呑んで、それから私が微笑みながら、姫や、敵のひげむじゃに抱かれるよりは、父と一緒に死にたまえ。少しも早う、この毒を呑んで死んでお呉れ。そんなたわむれの言葉を交しながら、ゆとりある態度で呑みおわって、それから、大きいひらたい岩にふたりならんで腰かけて、両脚をぶらぶらうごかしながら、静かに薬のきく時を待って居ました。私はいま、徹頭徹尾、死なねばならぬ。きのう、きょう、二日あそんで、それがため、すでに、かの穴蔵の仕事の十指にあまる連絡の線を切断。組織は、ふたたび収拾し能わぬほどの大混乱、火事よりも雷よりも、くらべものにならぬほどの一種凄烈のごったがえし。