Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
逝く水は日夜を捨てざるを、いたずらに真と書き、真と書いて、去る波の今書いた真を今載せて杳然と去るを思わぬが世の常である。堂に法華と云い、石に仏足と云い、に相輪と云い、院に浄土と云うも、ただ名と年と歴史を記して吾事畢ると思うは屍を抱いて活ける人を髣髴するようなものである。見るは名あるがためではない。観ずるは見るがためではない。太上は形を離れて普遍の念に入る。――甲野さんが叡山に登って叡山を知らぬはこの故である。
過去は死んでいる。大法鼓を鳴らし、大法螺を吹き、大法幢を樹てて王城の鬼門を護りし昔しは知らず、中堂に仏眠りて天蓋に蜘蛛の糸引く古伽藍を、今さらのように桓武天皇の御宇から堀り起して、無用の詮議に、千古の泥を洗い落すは、一日に四十八時間の夜昼ある閑人の所作である。現在は刻をきざんで吾を待つ。有為の天下は眼前に落ち来る。双の腕は風を截って乾坤に鳴る。――これだから宗近君は叡山に登りながら何にも知らぬ。
ただ老人だけは太平である。天下の興廃は叡山一刹の指揮によって、夜来、日来に面目を新たにするものじゃと思い籠めたように、々として叡山を説く。説くは固より青年に対する親切から出る。