Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
「何だか危なくって……」
「なに自然に押して行けば世話はない」と挟まった人をやり過ごして、苦しいところを娘といっしょになる。
「押されるばかりで、ちっとも押せやしないわ」と娘は落ちつかぬながら、薄い片頬に笑を見せる。
「押さなくってもいいから、押されるだけ押されるさ」と云ううち二人は前へ出る。巡査の提灯が孤堂先生の黒い帽子を掠めて動いた。
「小野はどうしたかね」
「あすこよ」と眼元で指す。手を出せば人の肩で遮ぎられる。
「どこに」と孤堂先生は足を揃える暇もなく、そのまま日和下駄の前歯を傾けて背延をする。先生の腰が中心を失いかけたところを、後ろから気の早い文明の民が押しかかる。先生はのめった。危うく倒れるところを、前に立つ文明の民の背中でようやく喰い留める。文明の民はどこまでも前へ出たがる代りに、背中で人を援ける事を拒まぬ親切な人間である。
文明の波は自から動いて頼のない親と子を弁天の堂近く押し出して来る。長い橋が切れて、渡る人の足が土へ着くや否や波は急に左右に散って、黒い頭が勝手な方へ崩れ出す。二人はようやく胸が広くなったような心持になる。
暗い底に藍を含む逝く春の夜を透かして見ると、花が見える。