Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
相手は汗ばんだ額を、思うまま春風に曝して、粘り着いた黒髪の、逆に飛ばぬを恨むごとくに、手巾を片手に握って、額とも云わず、顔とも云わず、頸窩の尽くるあたりまで、くちゃくちゃに掻き廻した。促がされた事には頓着する気色もなく、
「君はあの山を頑固だと云ったね」と聞く。
「うむ、動かばこそと云ったような按排じゃないか。こう云う風に」と四角な肩をいとど四角にして、空いた方の手に栄螺の親類をつくりながら、いささか我も動かばこその姿勢を見せる。
「動かばこそと云うのは、動けるのに動かない時の事を云うのだろう」と細長い眼の角から斜めに相手を見下した。
「そうさ」
「あの山は動けるかい」
「アハハハまた始まった。君は余計な事を云いに生れて来た男だ。さあ行くぜ」と太い桜の洋杖を、ひゅうと鳴らさぬばかりに、肩の上まで上げるや否や、歩行き出した。瘠せた男も手巾を袂に収めて歩行き出す。
「今日は山端の平八茶屋で一日遊んだ方がよかった。今から登ったって中途半端になるばかりだ。元来頂上まで何里あるのかい」
「頂上まで一里半だ」
「どこから」
「どこからか分るものか、たかの知れた京都の山だ」
瘠せた男は何にも云わずににやにやと笑った。