Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

「何が」

「でもおかしいわ」と首を傾げて愛らしく笑っている。要領を得ぬ甲野さんも何となく笑いたくなる。

「何ですかその面白かったものは」

「云って見ましょうか」

「云って御覧なさい」

「あの、皆して御茶を飲んだでしょう」

「ええ、あの御茶が面白かったんですか」

「御茶じゃないんです。御茶じゃないんですけれどもね」

「ああ」

「あの時小野さんがいらしったでしょう」

「ええ、いました」

「美しい方を連れていらしったでしょう」

「美しい? そう。若い人といっしょのようでしたね」

「あの方を御存じでしょう」

「いいえ、知らない」

「あら。だって兄がそう云いましたわ」

「そりゃ顔を知ってると云う意味なんでしょう。話をした事は一遍もありません」

「でも知っていらっしゃるでしょう」

「ハハハハ。どうしても知ってなければならないんですか。実は逢った事は何遍もあります」

「だから、そう云ったんですわ」

「だから何と」

「面白かったって」

「なぜ」

「なぜでも」

二重瞼に寄る波は、寄りては崩れ、崩れては寄り、黒い眸を、見よがしに弄ぶ。繁き若葉を洩る日影の、錯落と大地に鋪くを、風は枝頭を揺かして、ちらつく苔の定かならぬようである。