Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

――見たよ」

「宿の二階からですか」

「二階からも見た」

もの字が少し気になる。春雨の欄に出て、連翹の花もろともに古い庭を見下された事は、とくの昔に知っている。今更引合に出されても驚ろきはしない。しかし二階からもとなると剣呑だ。そのほかにまだ見られた事があるにきまっている。不断なら進んで聞くところだが、何となく空景気を着けるような心持がして、どこでと押を強く出損なったまま、二三歩あるく。

「嵐山へ行くところも見た」

「見ただけですか」

「知らない人に話は出来ない。見ただけさ」

「話して見れば好かったのに」

小野さんは突然冗談を云う。にわかに景気が好くなった。

「団子を食っているところも見た」

「どこで」

「やっぱり嵐山だ」

「それっ切りですか」

「まだ有る。京都から東京までいっしょに来た」

「なるほど勘定して見ると同じ汽車でしたね」

「君が停車場へ迎えに行ったところも見た」

「そうでしたか」と小野さんは苦笑した。

「あの人は東京ものだそうだね」

「誰が……」と云い掛けて、小野さんは、眼鏡の珠のはずれから、変に相手の横顔を覗き込んだ。

「誰が? 誰がとは」

「誰が話したんです」

小野さんの調子は存外落ついている。