Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
「少しって、いつまでの事かい。そこが判然していれば待っても好いさ。小夜にも私からよく話して置く。しかしただ少しでは困る。いくら親でも子に対して幾分か責任があるから。――少しって云うのは博士論文でも書き上げてしまうまでかい」
「ええ、まずそうです」
「だいぶ久しく書いているようだが、まあいつごろ済むつもりかね。大体」
「なるべく早く書いてしまおうと思って骨を折っているんですが。何分問題が大きいものですから」
「しかし大体の見当は着くだろう」
「もう少しです」
「来月くらいかい」
「そう早くは……」
「来々月はどうだね」
「どうも……」
「じゃ、結婚をしてからにしたら好かろう、結婚をしたから論文が書けなくなったと云う理由も出て来そうにない」
「ですが、責任が重くなるから」
「いいじゃないか、今まで通りに働いてさえいれば。当分の間、我々は経済上、君の世話にならんでもいいから」
小野さんは返事のしようがなかった。
「収入は今どのくらいあるのかね」
「わずかです」
「わずかとは」
「みんなで六十円ばかりです。一人がようようです」
「下宿をして?」
「ええ」
「そりゃ馬鹿気ている。一人で六十円使うのはもったいない。