Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

分ったろうな」と云う。

小野さんは恭しく帽子を脱ぐ。先生の影は洋灯と共に消えた。

外は朧である。半ば世を照らし、半ば世を鎖す光が空に懸る。空は高きがごとく低きがごとく据らぬ腰を、更けぬ宵に浮かしている。懸るものはなおさらふわふわする。丸い縁に黄を帯びた輪をぼんやり膨らまして輪廓も確でない。黄な帯は外囲に近く色を失って、黒ずんだ藍のなかに煮染出す。流れれば月も消えそうに見える。月は空に、人は地に紛れやすい晩である。

小野さんの靴は、湿っぽい光を憚かるごとく、地に落す踵を洋袴の裾に隠して、小路を蕎麦屋の行灯まで抜け出して左へ折れた。往来は人の香がする。地にく影は長くはない。丸まって動いて来る。こんもりと揺れて去る。下駄の音は朧に包まれて、霜のようには冴えぬ。撫でて通る電信柱に白い模様が見えた。すかす眸を不審と据えると白墨の相々傘が映る。それほどの浅い夜を、昼から引っ越して来た霞が立て籠める。行く人も来る人も何となく要領を得ぬ。逃れば靄のなか、出れば月の世界である。小野さんは夢のように歩を移して来た。々として独り行くと云う句に似ている。

実は夕食もまだ食わない。