Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
吾妻下駄と駒下駄の音が調子を揃えて生温く宵を刻んで寛なるなかに、話し声は聞える。
「洋灯の台を買って来て下さったでしょうか」と一人が云う。「そうさね」と一人が応える。「今頃は来ていらっしゃるかも知れませんよ」と前の声がまた云う。「どうだか」と後の声がまた応える。「でも買って行くとおっしゃったんでしょう」と押す。「ああ。――何だか暖か過ぎる晩だこと」と逃げる。「御湯のせいでござんすよ。薬湯は温まりますから」と説明する。
二人の話はここで小野さんの向側を通り越した。見送ると並ぶ軒下から頭の影だけが斜に出て、蕎麦屋の方へ動いて行く。しばらく首を捩じ向けて、立ち留っていた小野さんは、また歩き出した。
浅井のように気の毒気の少ないものなら、すぐ片づける事も出来る。宗近のような平気な男なら、苦もなくどうかするだろう。甲野なら超然として板挟みになっているかも知れぬ。しかし自分には出来ない。向へ行って一歩深く陥り、こっちへ来て一歩深く陥る。双方へ気兼をして、片足ずつ双方へ取られてしまう。つまりは人情に絡んで意思に乏しいからである。利害? 利害の念は人情の土台の上に、後から被せた景気の皮である。