Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
書棚は壁に片寄せて、間の高さを九尺列ねて戸口まで続く。組めば重ね、離せば一段の棚を喜んで、亡き父が西洋から取り寄せたものである。いっぱいに並べた書物が紺に、黄に、いろいろに、ゆかしき光を闘わすなかに花文字の、角文字の金は、縦にも横にも奇麗である。
小野さんは欽吾の書斎を見るたびに羨しいと思わぬ事はない。欽吾も無論嫌ってはおらぬ。もとは父の居間であった。仕切りの戸を一つ明けると直応接間へ抜ける。残る一つを出ると内廊下から日本座敷へ続く。洋風の二間は、父が手狭な住居を、二十世紀に取り拡げた便利の結果である。趣味に叶うと云わんよりは、むしろ実用に逼られて、時好の程度に己れを委却した建築である。さほどに嬉しい部屋ではない。けれども小野さんは非常に羨ましがっている。
こう云う書斎に這入って、好きな書物を、好きな時に読んで、厭きた時分に、好きな人と好きな話をしたら極楽だろうと思う。博士論文はすぐ書いて見せる。博士論文を書いたあとは後代を驚ろかすような大著述をして見せる。定めて愉快だろう。しかし今のような下宿住居で、隣り近所の乱調子に頭を攪き廻されるようではとうてい駄目である。