Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
「見事だね。かえって生じいな花よりも、好ござんすよ。ここからは、たった一本しっきゃ見えないね。向へ廻ると刈り込んだのが丸く揃って、そりゃ奇麗」
「あなたの部屋からが一番好く見えるようですね」
「ああ、御覧かい」
甲野さんは見たとも見ないとも云わなかった。母は云う。――
「それにね。近頃は陽気のせいか池の緋鯉が、まことによく跳るんで……ここから聞えますかい」
「鯉の跳る音がですか」
「ああ」
「いいえ」
「聞えない。聞えないだろうねこう立て切って有っちゃあ。母さんの部屋からでも聞えないくらいだから。この間藤尾に母さんは耳が悪くなったって、さんざん笑われたのさ。――もっとも、もう耳も悪くなって好い年だから仕方がないけれども」
「藤尾はいますか」
「いるよ。もう小野さんが来て稽古をする時分だろう。――何か用でもあるかい」
「いえ、用は別にありません」
「あれも、あんな、気の勝った子で、さぞ御前さんの気に障る事もあろうが、まあ我慢して、本当の妹だと思って、面倒を見てやって下さい」
甲野さんは腕組のまま、じっと、深い瞳を母の上に据えた。母の眼はなぜか洋卓の上に落ちている。
「世話はする気です」