Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

「有っても好い」

「万有世界の哲学的象徴とでも云うんだろう。よく一人の頭でこんなに並べられたもんだね。紺屋の上絵師と哲学者と云う論文でも書く気じゃないか」

甲野さんは今度も何とも云わなかった。

「何だか、どうも相変らずぐずぐずしているね。いつ見ても煮え切らない」

「今日は特別煮え切らない」

「天気のせいじゃないか、ハハハハ」

「天気のせいより、生きてるせいだよ」

「そうさね、煮え切ってぴんぴんしているものは沢山ないようだ。御互も、こうやって三十年近くも、しくしくして……」

「いつまでも浮世の鍋の中で、煮え切れずにいるのさ」

甲野さんはここに至って始めて笑った。

「時に甲野さん、今日は報告かたがた少々談判に来たんだがね」

「むつかしい来ようだ」

「近いうち洋行をするよ」

「洋行を」

「うん欧羅巴へ行くのさ」

「行くのはいいが、親父見たように、煮え切っちゃいけない」

「なんとも云えないが、印度洋さえ越せば大抵大丈夫だろう」

甲野さんはハハハハと笑った。

「実は最近の好機において外交官の試験に及第したんだから、この通り早速頭を刈ってね、やっぱり、最近の好機において出掛けなくっちゃならない。