Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

足音は日本間の方へ馳けながら遠退いて行く。二人は顔を見合わした。

「藤尾だ」と甲野さんが云う。

「そうか」と宗近君がまた答えた。

あとは静かになる。机の上の置時計がきちきちと鳴る。

「金時計も廃せ」

「うん。廃そう」

甲野さんは首を壁に向けたまま、宗近君は腕を拱いたまま、――時計はきちきちと鳴る。日本間の方で大勢が一度に笑った。

「宗近さん」と欽吾はまた首を向け直した。「藤尾に嫌われたよ。黙ってる方がいい」

「うん黙っている」

「藤尾には君のような人格は解らない。浅墓な跳ね返りものだ。小野にやってしまえ」

「この通り頭ができた」

宗近君は節太の手を胸から抜いて、刈り立の頭の天辺をとんと敲いた。

甲野さんは眼尻に笑の波を、あるか、なきかに寄せて重々しく首肯いた。あとから云う。

「頭ができれば、藤尾なんぞは要らないだろう」

宗近君は軽くうふんと云ったのみである。

「それでようやく安心した」と甲野さんは、くつろいだ片足を上げて、残る膝頭の上へ載せる。宗近君は巻煙草を燻らし始めた。吹く煙のなかから、

「これからだ」と独語のように云う。

「これからだ。僕もこれからだ」と甲野さんも独語のように答えた。