Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

長いものがふらりふらりと二三度揺れる。第一の波は紅の珠に女の白き腕を打つ。第二の波は観世に動いて、軽く袖口にあたる。第三の波のまさに静まらんとするとき、女は衝と立ち上がった。

奇麗な色が、二色、三色入り乱れて、疾く動く景色を、茫然と眺めていた小野さんの前へぴたりと坐った藤尾は

「御母さん」と後を顧みながら、

「こうすると引き立ちますよ」と云って故の席に返る。小野さんの胴衣の胸には松葉形に組んだ金の鎖が、釦の穴を左右に抜けて、黒ずんだメルトン地を背景に燦爛と耀やいている。

「どうです」と藤尾が云う。

「なるほど善く似合いますね」と御母さんが云う。

「全体どうしたんです」と小野さんは煙に巻かれながら聞く。御母さんはホホホと笑う。

「上げましょうか」と藤尾は流し目に聞いた。小野さんは黙っている。

「じゃ、まあ、止しましょう」と藤尾は再び立って小野さんの胸から金時計を外してしまった。

三

柳れて条々の煙を欄に吹き込むほどの雨の日である。衣桁に懸けた紺の背広の暗く下がるしたに、黒い靴足袋が三分一裏返しに丸く蹲踞っている。違棚の狭い上に、偉大な頭陀袋を据えて、締括りのない紐をだらだらと嬾も垂らした傍らに、錬歯粉と白楊子が御早うと挨拶している。