Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

「そりゃ知らない。登って見なければ分らないさ」

「ハハハハ君のような計画好きでもそこまでは聞かなかったと見えるね。千慮の一失か。それじゃ、仰せに従って渡るとするかな。君いよいよ登りだぜ。どうだ、歩行けるか」

「歩行けないたって、仕方がない」

「なるほど哲学者だけあらあ。それで、もう少し判然すると一人前だがな」

「何でも好いから、先へ行くが好い」

「あとから尾いて来るかい」

「いいから行くが好い」

「尾いて来る気なら行くさ」

渓川に危うく渡せる一本橋を前後して横切った二人の影は、草山の草繁き中を、辛うじて一縷の細き力に頂きへ抜ける小径のなかに隠れた。草は固より去年の霜を持ち越したまま立枯の姿であるが、薄く溶けた雲を透して真上から射し込む日影に蒸し返されて、両頬のほてるばかりに暖かい。

「おい、君、甲野さん」と振り返る。甲野さんは細い山道に適当した細い体躯を真直に立てたまま、下を向いて

「うん」と答えた。

「そろそろ降参しかけたな。弱い男だ。あの下を見たまえ」と例の桜の杖を左から右へかけて一振りに振り廻す。

振り廻した杖の先の尽くる、遥か向うには、白銀の一筋に眼を射る高野川を閃めかして、左右は燃え崩るるまでに濃く咲いた菜の花をべっとりと擦り着けた背景には薄紫の遠山を縹緲のあなたに描き出してある。